「ペスト」カミュ 宮崎嶺雄 訳 (新潮文庫)

2020/7/8
カミュ

どうしても、現在進行中の新型コロナウィルスに支配されている現在世界と並行して読み進めてしまいます。そうした意味でリアリティーを感じます。

誰もが、「隣人に信用がおけないということ。こっちの知らない間にペストを持って来られたり、うっかりしている隙に乗じて病毒を感染させられたりしかねないということが、あまりにもよくわかっているのだ。」という世界に生きているからこそ、この疫病に正しい知識と記憶を持って誠実に向き合い行動する美しい人の心や人の思想に価値が有るのだと思います。

それは、現在に求められる現実でも有ります。

その人の心や思想に内在する美しさを表現している作品だからこそ、読み終えた後に圧倒的に静かな感動が呼び起こされます。

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