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「失われた時を求めて」第一篇 文庫第一巻・文庫第二巻 プルースト 吉川一義 訳 (岩波文庫)

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2021/3/30
失われた時を求めて第一篇

第一篇「スワン家のほうへ」 

文庫第一巻『コンプレー』 文庫第二巻『スワンの恋』『土地の名―名』

第一巻の最初が、読み慣れるまでが大変で時間がかかりました。私は、二度読み直しました。しかし、訳者あとがきで述べられているように、この最初のオペラでいうところの序曲を読み終えると、不思議と慣れて来たのか、それから以後は読めました。

しかし、ふっと、気が散って長い文章の一部が読めなくなると、小説自体が読めなくなってしまいます。読む事の集中力が問われます。読めるとすらすらと読めて行くのですが。

私がこの小説を読もうとすると読めますが、逆に、私が本を読めなくなると読めなくなってしまいます。そう、たえず一定の距離感を保つ事が求められます。なかなかうまく出来ませんが、読書習慣が身に付く小説だと思います。

さて、第一巻においては、P116「叔母が私に出してくれたシナノキの花のハーブティ―に浸けたマドレーヌのかけらの味だとわかったとたん」幼い頃の自分を思い出す事から、お話しが進められて行きます。私自身の幼い頃の生活はどうだったろうかという思いに至ります。波乱万丈の筋立てではなくて、日常の生活と関わる私の心の変遷を物語ります。

第二巻においては、恋のお話しです。淡く切ない恋心のお話しです。おそらく誰もが経験する恋のお話しだと思います。そんな恋心と関わる自分自身の日常の生活の中で、たえず現れる自分が異なっている表現から、作者は捉えどころのない自我そのものの不可思議さを語っているのではないかと思いました。言い換えると、たえず、意識立てしている自我を超える自我が生活をしていて、その意識立てした自我を問うている、という考え方を表現していると思います。

 

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