私の「生きる記録」~絵画作品の発表など~

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「夜明け前」全4巻 島崎 藤村 (新潮文庫)

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2021/1/29
夜明け前

読み応えが有りました。質の高い読み物です。また、分かり易い筋書きでも有ると思います。そして、今日的意義を持った作品です。

黒船襲来から王政復古から明治の初期までの時代背景が有ります。江戸から明治という、徳川幕府体制から王政復古という、全く質の異なった体制創りの根本には、「草叢(くさむら)の中」からの原動力が働いたとする作者の歴史観に、私は共感を覚えました。

黒船襲来によって、世界と関わる時代と認識し、世界と関わる時代を創り上げたのは、名も無き「蒼生万民」その人達の力です。鎖国していた我が国から、西洋の国々に侵略されず西洋と肩を並べる国家へと我が国を創り上げた、その過程に日本人である誇りを思います。

主人公の父親が亡くなってからのお話しは感動でした。また、その葬式も美しく描写しています。家族愛も一つの主題として成り立っていると思いました。一人の人が生きて行く事の尊さが、よく伝わって来ます。また、その人生の唯一無二の重みをもったかけがいのないものである、この認識に至らしめる程に、主人公の人生を実に丁寧に描いていると思いました。

今日、世の中が忘れ失った心、もう一度再生しなくてはならない心は、この自他を尊び敬う心だと思います。

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