「新源氏物語」全3巻 田辺聖子 (新潮文庫)

2020/6/12

新源氏物語

794(延暦13)年~1185(文治元)年、390年間続いた平安時代、文献初出は1008(寛弘5)年、今から千年以上前の作品です。読み継がれ語り継がれて来た男と女の恋愛物語です。

光源氏や他の男達と関わり受けて立つそれぞれの女性達、その一人一人の思いとお話しの展開が、たえず興味や関心を呼び起こす、そんな心豊かな面白さが、当時の雅やかさと合わさって、千年以上長きに渡って人々が伝承して来たのだと思います。

千年以上後に蘇り光り輝く紫式部。同じ訳本でも古き日本人が書き残した作品の現代語訳は、外国人が書き記した作品の訳本より、すっと心に入って来て分かり易い。

中巻 P414「―――心ひとつに包みかねる感動を、のちの世まで伝えたい、と書き残したのが小説のはじまりですよ。―――」。物質はたえず時と共に変遷しますが、精神文化は伝承され残って行きます。

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