「金閣寺」三島由紀夫 (新潮文庫)

2020/10/25
三島由紀夫

金閣寺放火事件という実際に起こった事件を題材にした小説です。195072日未明に明治時代に大修理されていた舎利殿(金閣)が全焼しました。今日有る金閣寺は1955年に再建されたものです。この、事件の犯人の見習い僧侶が救命措置で生き延びましたが、切腹してうずくまった状態で発見されています。

あの衝撃の三島事件ー1970年(昭和45年)11月25日に、作者が、憲法改正のため自衛隊の決起(クーデター)を呼びかけた後に割腹自殺をした事件ーと、この切腹とが私には重なって見えます。

作品中の抜粋ですが、P234『「かれらの言葉」で私が理解されるのは耐えがたい。「私の言葉」はそれとは別なのである。』・P235 『 何度も言うように、理解されないということが、私の存在理由だったのである。』

現存する私への内的抵抗感、その内的抵抗感に自己存在を委ねて、自らの生きる意味を意味付けていると思います。だから、上記に抜粋した文章が在るのだと思います。感性や理性と関わる自己認識というものを否定する直観的な手ごたえと確かさに生きる意味を求めています。



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