「レ・ミゼラブル」全5巻 ユゴー(ヴィクトル・ユーゴー)佐藤 朔訳 (新潮文庫)

2020/10/15
レ・ミゼラブル

    このお話しはどうなるのだろうか、と、思いを馳せさせてくれる。どうとでもお話しが展開出来るのです。そうしたお話しの進め具合から筆者の言いたい事柄が分かってくるのだと思います。

      このお話しの進め方と筆者の主張―「彼の良心、すなわち神である。」「良心とは何か未知なものへの羅針盤である。」「海よりも大きなながめが有る。それは、空である。空より大きなながめが有る。それは、魂の内部である。」物語の中の言葉を抜き出しました。人々の良心に神を見て良き巡り合わせに天使を想う。ヒューマニズムです。―とが、長く読み継がれている理由なのかも知れません。

  そして、物語は実に面白い。引き込まれるように読んでいる自分に気が付きます。語彙力、言葉を繰る力が、生き生きとした表現を生み出しています。また、大衆的な表現だと思います。大衆受けする表現を狙っています。だからこそ、長きに渡って、多くの国で読み続けられているのだと思います。映像を見ているような情景描写です。第五巻に入った頃に、寂しさを感じました。この巻を読み終えるとこの小説を読むのも終わりになってしまう寂しさ、こんな感情を知って驚きました。

  「咲きほこる老年には、何とも言えぬ曙がある。」、この作品の中で私が一番励みになった言葉です。

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