「失われた時を求めて」第六篇「消え去ったアルベルチーヌ」 文庫第十二巻「消え去ったアルベルチーヌ」 プルースト 吉川一義 訳 (岩波文庫)

2022/7/14
文庫第十二巻「囚われの女Ⅱ」
この物語の主人公の私は男で、その私が狂おしい程の嫉妬心を惹き起こす愛する人、アルベルチーヌは女です。
この主人公の私は娼婦館で遊んだり他の女性に心惹かれる男です。アルベルチーヌは他の女性との快楽を楽しむと共に主人公との性交を味わう女性です。
主人公はそんな女性の性癖が許せないで嫉妬に苦しみます。しかし、一方で主人公は他の女性との快楽を楽しみます。男の身勝手です。そうされる女性の想いがお話しされません。
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの言葉に「愛は支配しない、愛は育てる。」があります。嫉妬心という欲望に支配された私はアルベルチーヌを愛する事が出来ません。私はアルベルチーヌを愛していると思い込んでいますが、嫉妬心という欲望に我が身を委ねていただけです。
お互いがお互いの欲望を追い求める欲望の世界が描かれていると思いました。P603「---人が快楽をそれが見つかるところに求めるのはごく自然であり人間的であるとも思う---」この考え方は、P602の「人が快楽を味わうのに---道徳的観点からは---問題がない---」に基づいています。
愛と快楽は全く質が異なるものです。愛は育ててゆくもので人間的なものですが、快楽は欲望に根付くお互いに他を支配しようとする動物的なものだと、私は思います。従って、快楽だけを追い求める欲望は道徳的観点から問題が有ると思っています。だからと言って、動物的な欲望を否定する考え方ではありません。
 

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