私の「生きる記録」~絵画作品の発表など~

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「月と六ペンス」 サマセット・モーム 金原瑞人 訳 (新潮文庫)

2020/7/28
月と六ペンス

ポール・ゴーギャンをヒントに書かれた作品として知られています。しかし、この作品の主人公と実際のゴーギャンとの共通点は少ないです。

私は、この作者の才気有る言葉に感心しました。P120 8行目~9行目「美とは芸術家が鑑賞者たちに聴かせる歌のようなものだ。その歌を心で聴くには、知識と感受性と想像力がなくてはならない」と、美を定義づけていますが、納得の行く言語表現です。また、P330 10行目「人はなりたい姿になれるわけではなく、なるべき姿になるのだ。―――」ここに信仰心の強い価値を見出す事が出来ます。この通りだと思います。

果たして、この物語の主人公は成功したのかどうか、その評価はP312 1行目~2行目 「成功の意味はひとつではない。人生になにを求めるか、社会になにを求めるか、個人としてなにを求めるかで変わってくる。」という作者の成功の考え方に有ると思います。

きっと、個人として人生に美の追求という課題を自らに課した主人公は、ほかの誰よりも悲惨な生活だったにも拘らず、ほかの誰よりも自らの課題に誠実な努力を怠らないそういう心豊かな生活を送ったので、彼は成功なのだと評価づけているのだと思います。


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